ビルメンテナンスとは?仕事の内容について後藤さんに聞く

最終更新日 2024年5月14日 by nieaun

ビルメンテナンスは建築物管理を指すもので、建物の使用や維持管理に必要な清掃を始めとして、点検や必要に応じた修繕などの業務を行います。
それを請け負う事業を指すこともありますが、ビル管理や略してビルメンと呼ばれることもあります。
この建築物管理自体は、日本においては戦後に誕生したり定着したもので、現在では広く知られる当たり前の存在になっています。
建物の維持管理が主な業務ですが、建物の所有者から直接的に雇用が行われるケースは稀でしょう。

市場全体の約3割を官公庁が占める

一般的には専門業者が従業員を雇い、所有者から業務を請け負う形態となっています。
業界の傾向としては地方ではなく都市部に集中しており、市場全体の約3割を官公庁が占めます。
いわゆるアウトソーシングの業態ですが、比較的参入しやすいことから、競争が激しい市場でもあります。
ちなみにビルメンテナンス業の多くは中小企業で、減価の7割が人件費です。
つまり、労働者が市場競争の影響を受けやすい業界で、受注条件によっては薄利多売になり得るわけです。
労働者の待遇改善に取り組んではいるものの、働く魅力や希望といったイメージが弱いことから、人材不足が続いています。

とてもやりがいのある仕事

そんなビルメンテナンス業ですが、業務には専門的な資格が必要だったり、とてもやりがいのある仕事だと業界に詳しい後藤悟志は言います。
関連する資格にはビルクリーニング技能士や清掃作業監督者、電気主任技術者などがあります。
電気工事士とボイラー技士、危険物取扱者はビルメンの基本的な資格といわれ、これらを持っていると重宝されます。
更に冷凍機械責任者、消防設備士があれば活躍できる場面が増えるので、より好条件で働ける可能性がアップします。
電気主任技術者やエネルギー管理士、建築物環境衛生管理技術者は上位資格で、基本的な資格と合わせると請け負えない仕事は殆どなくなります。
綺麗で当たり前、清掃が行き届いていて当然というイメージのビルは、それを維持する人達のおかげで成り立っています。
清掃、衛生管理業務はゴミの回収や分別処分、害虫や害獣の侵入の防止に駆除といた業務が中心です。
虫が湧いたり害獣が現れる建物は、ゴミが散らばっていたり餌があることを意味するので、こまめな清掃作業が不可欠です。

設備管理業務について

放置すれば衛生的に良くないですし、建物を利用する人の健康が害されてもおかしくないでしょう。
設備管理業務には電気や空調に給排水、衛生や防災と防犯設備の監視、点検や故障に対する対応があります。
搬送設備や通信設備も対象ですし、これらを総合的に管理しつつ、常時監視をして異常や問題が見つかれば速やかに対処することが求められます。
早期発見と緊急対応が広範囲に求められる業務なので、実際に業務に従事する人達は大変です。
常駐警備もビルメンテナンス業務の1つですが、防災とセットで行われるのが基本となります。
事件や事故を未然に防いだり、火災が発生しないように巡回して監視する、そういう地道な仕事です。
神経を研ぎ澄ます必要がありますし、見落としがあれば自分の責任になる恐れがあるので、業務に対する姿勢や集中力が問われます。
通行の管理や駐車場の業務に、事件と事故、災害の対応に関係機関への連絡といった初動に関わる部分も仕事なので、決して楽ではないです。
しかし、これらのビルメンテナンス業務に従事する人がいるからこそ、安心安全で快適な建物が保たれます。

管理に関する業務

管理に関する業務は受付や電話対応、エレベーターに郵便物の管理、食堂の運営や自販機に給湯器、植物の管理にまで至ります。
宿泊施設や医療機関ではベッドメイキングもありますし、改修や改造工事に従事する人もいます。
不動産の賃貸管理や契約、料金の回収などもビルメンテナンスの範囲に含まれるので、改めて業務が多岐にわたる業界だと分かるでしょう。
日本では戦後、GHQによって日本人に清掃業務が委託されたのがルーツとされ、経済成長に伴い参入する企業が増えて業界が成長しました。
1970年代の都心開発、1980年代のバブルで成長と拡大を続けましたが、バブルが弾けたことで低迷に転じています。
2000年代に入ってからも状況は続いており、待遇改善を始めとした見直しが必要ですが、今後も必要とされる仕事でなくならないのは確かです。
資格があればより収入の良い仕事が受けられますし、資格を増やしていくことで仕事の経験も増え、実績が認められて更に待遇が良くなる可能性があります。

まとめ

上位資格を持てば昇給手当がつくようになりますし、キャリアアップの道がひらけたり、キャリアパスの選択肢が増えます。
業界全体が人材不足の状況ですから、資格や経験が充実している人材はどこも喉から手が出るほど欲しいですし、それだけ高待遇で迎え入れられるチャンスが増えることに期待できます。
上を目指せば道はありますし、挑戦の余地やひらける可能性が存在していますから、諦めなければ収入を増やしたり年収のアップが望めるでしょう。