再生可能エネルギーで安定した供給をするために必要なこと

太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーのエネルギー源は、地球や太陽がなくならない限りは再生産できる自然です。
従来のエネルギーで消費する石油やガスとは違い、エネルギー源となる自然はそこら中にあふれているのでわざわざ調達する必要はなく自然が枯渇する心配もないことが魅力です。

発電量が天候によって左右される

しかし、再生可能エネルギーには不安な点もあります。
それは、発電量が天候によって左右されるので、安定した供給ができるのかということです。
太陽光発電であれば、雨が降ればほとんど発電ができなくなるので、梅雨の時期になれば大した働きができません。
風力も風の勢いが弱いときはもちろんのこと、強風のときにはタービンを守るために発電を停止する仕組みになっています。
こちらも天候次第で十分なエネルギーを供給できない恐れがあります。

安定した供給ができるかどうか

電力で最も大切なことは、安定した供給ができるかどうかです。
だからこそ、電力小売の全面自由化以前は、各地の電力会社には法律で電力供給義務が課せられていました。
それが全面自由化以降は小売業者が国に登録申請をするときに安定供給が出来る能力が求められ、さらに必要に応じて供給計画の提出や不足が生じたときにはそれを補う供給を確保する義務が課せられるようになりました。

もし、電気が使えなくなれば、照明が消えパソコンやスマホといったデジタルツールも使えません。
電車は動かず、病院など人の命を預かる場所では深刻なトラブルが発生することになるでしょう。
社会を混乱にさらさないためにも、供給が不安定になることは避けなければいけません。
それが技術大国と言われる日本でも、再生可能エネルギーが主力になっていない理由のひとつです。

バイオマス発電や地熱発電ならどのような天候であろうと発電が可能

では、どうすれば再生可能エネルギーでも安定した供給ができるようになるのかというと、天候に左右されないエネルギー源についてもっと研究するべきです。
例えば、バイオマス発電や地熱発電であれば、どのような天候であろうと発電が可能です。

バイオマス発電

バイオマス発電は、間伐材などから作られたペレットや精製された廃油、家畜の糞尿や生ゴミからつくられたバイオガスを燃焼させることでガスカービンを回して発電する方法です。
物を燃やして発電するということでは火力発電と同じですが、バイオマスは本来ならば捨てるものを利用します。
しかも、燃料となるものは人間の社会が存続する限りは次から次へと生み出せるという点から再生可能です。
原理では火力発電と同じということで、天候がどのような状態であろうとも安定した供給ができます。

地熱発電

地熱発電は、地面の下でうごめくマグマの熱を利用して発電をする方法です。
雨がふり地面に染み込むと地下水になります。
その地下水は、マグマで熱せられると、蒸気に変わります。
その蒸気の力でタービンを回して発電をするという仕組みです。
ということで地熱も、天候に関係なく電力を供給できる方法といえます。

コストがかかるという課題がある

しかしながら、これらの発電方法は供給力については十分なのですが、コストがかかるという課題があります。
バイオマス発電で間伐材や家畜の糞尿などを集めて運ばなければいけませんし、燃料として使える形に加工するのにも手間とお金がかかります。
地熱発電にしても、蒸気を利用するということで最適なのは火山の近くと設備を設置できる場所が限定されますし、地面の奥深くまで掘り進めるとなれば大掛かり工事になります。
そういったことでコストが嵩みやすいです。
さらに地熱発電ができるところは、ほとんどの場合に温泉が存在しています。
開発をすることで湯量や温度に影響が出ることもあるので、地域経済に深刻な打撃を与えるリスクもあります。

温泉事業を存続できるように蒸気を利用する量を調整するといった工夫が必要

これらの課題を解決するためには、より研究を進めてバイオマス発電にしても地熱発電にしてもコストを下げる努力が必要です。
そして、地熱発電の場合には、温泉事業を存続できるように蒸気を利用する量を調整するといった工夫をしていくべきです。
それらのことができれば、天候に左右されない再生可能エネルギーの出番がもっと増えていきます。

そして、同時に天候を利用する再生可能エネルギーの研究も、もっと推し進めていかなければいけません。
ソーラパネルの性能を高めれば、弱い光でも発電できるようになります。
蓄電池の導入をしやすくすることで発電できるときに充電できるので、発電できないときに利用できます。

まとめ

そこで、注目されているのがバーチャルプラント(仮想発電所)という構想です。
バーチャルプラントというのは、地域にある再太陽光発電や過程用の蓄電池などを、ネットワークで繋ぐIoTを使ってまとめて小規模の発電所のようにすることです。
需要に合わせて一方的に供給をしてきた従来のやり方ではなく、供給量に合わせて需要を抑制したり、工場や家庭で電力をシェアするといったことで需給の調整をし社会を支えるというやり方です。
バーチャルプラントが構築されれば、天候に左右され供給が不安定な太陽光発電や風力発電でも十分に活躍できるでしょう。

 

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Influx星野敦

最終更新日 2025年7月31日 by nieaun